劇場の大スクリーンに映し出される映画の字幕。気の利いたセリフに感動したり、胸が躍ったりした経験はありませんか。そして、「いつか自分もこんなカッコイイ翻訳をしてみたい…。」と。
「翻訳家=帰国子女」「翻訳家=一握りの才能のある人」という漠然としたイメージがあり、「自分には難しいかな…。」と尻込みしてしまう。
でも、実際のところはどうなのか。帰国子女じゃないと、翻訳家にはなれないのか。学生時代から語学堪能じゃないと、翻訳家にはなれないのか。一生懸命語学力を磨けば翻訳家になれるのか。今からでも間に合うなら、どんなことを勉強したら良いのか。
そんな疑問を解決すべく、「翻訳家」の旅をご用意しました。
今回の旅では、映画の字幕(主にDVD)や海外ドラマなど、英語はもちろん、幅広い言語の映像翻訳を手掛ける「ワイズ・インフィニティ」にて映像翻訳家の一日の仕事、業界の実態、翻訳家になるためのハウツーなどについて話を聞いた後、実際に字幕翻訳の仕事の一部を体験していただきます。
映像翻訳の仕事の魅力
映像翻訳には、1秒程度のセリフは4文字くらいで訳すという制限があります。その制限に収まり、内容もきちんと伝えられる字幕を作れた時、他では味わえないような爽快感を覚えます。まるで、難解なパズルを解いた時の気分だそうです。
しかも、日本語というのはわずか1文字の違いで、色々なバリエーションを生み出すことができます。同じ映像の翻訳でも、どの日本語を用いるかによって、その映像のイメージは全く変わってきます。登場人物の気持ちや雰囲気を慎重に観察しながら翻訳を考えていると、まるで自分がその人物になったかのような感覚になることもあります。
だから誰かが笑ったり泣いたりする姿を見ると、本当に幸せを感じます。映画「ニュー・シネマ・パラダイス」で映写技師のアルフレードが名言を残していますが、「人が笑うのが嬉しい。自分が笑わせてる気がする」まさしくそんな気分になります。
また、大好きな映画に関わっていられることや、バラエティに富んだ分野に関する最先端の情報を、いち早く聞いたり読んだりすることができるのは、この仕事の特権。仕事として依頼されなければ関心を持つことなどなかったであろう分野についての知識が増え、世界が広がっていきます。
語学ができるだけではダメ
翻訳の仕事は、翻訳する言語に堪能であれば良いというものではありません。もちろん語学力は必須条件ですが、それ以外にも求められる資質はたくさんあります。
「日本語の引き出しをたくさん持っている」「調べ物が苦にならない」「作業が早い」など、ワイズ・インフィニティの経験に基づいて、具体的に必要な資質を挙げてもらいました。
●日本語の引き出しをたくさん持っている:
ただ単に辞書の単語をあてはめるのではなく、その意味を汲んだ的確な日本語を繰り出せないといけません。例えば、“I”は辞書に従えば “私”ですが、自分、俺、拙者、わし、わて、おいら・・・などなど、全体のイメージを崩さないためには、そのシーンに合った日本語を的確に用いる必要があります。
●調べ物が苦にならない:
軍隊ものの翻訳をする時、法廷ものの翻訳をする時、実際に現場ではどのような言葉を使っているのかを知らないと、翻訳のしようがありません。「Captain」という肩書きも、海軍と陸軍では違ってきます。襟章で区別をつけなければならないこともあります。法廷で使われる「hearing」という言葉も、「聴聞」なのか「公聴」なのか、どういうふうに使い分けているのか分からないと翻訳できません。
●作業が早い:
「テレビ番組は、海外で放送されたらすぐに日本でも放送しよう」、あるいは、「劇場映画は、公開したら時間がたたないうちにDVDを売り出そう」という市場になっており、以前と比べると納期は短くなっています。
このような資質は一朝一夕には得られません。日頃から色々なことに興味を持ち、アンテナを張り、知識を広げることが大切です。
映像翻訳の旅
今回の体験では、映像翻訳の仕事の大まかな流れを体験することができます。仕事の流れや、業界の現状について講義を受けた後、映像翻訳を行う上で必須のソフトSSTの使用方法を学習します。普段パソコンを使用している方であれば、それほど難しいソフトではありません。
その後、実際にSSTを用いて、ハコ書き(セリフやナレーションのどこからどこまでを1枚の字幕にするかを区切っていく作業)と字幕翻訳にチャレンジしてもらいます。※SSTとは、他のビジネス業界で言うワードやエクセルのようなもの。業界で仕事をする上での必須ツール。
できあがった字幕は、どこが良くてどこが悪いのか、ひとつずつ丁寧にフィードバックをしていきますので、プロがどういう目線で仕事をこなしているかを肌で感じることができるでしょう。
この「一日体験」では、字幕翻訳に加えて、翻訳のチェック作業と字幕焼付体験にも挑戦してもらいます。
翻訳チェックとは、別の翻訳者が翻訳した初稿に誤訳はないか、不自然な日本語になっていないか、言い回しが統一されているかなどを確認するための、非常に重要な作業です。どんな案件でも必ずチェックを通ってから世に出るため、品質管理の最後の砦とも言われています。
字幕焼付体験では、実案件でも使用するノンリニア編集ソフトAdobe Premiereを使って、あなたが実際に翻訳した字幕を映像に焼き付け、さらにDVDを作成します。作成したDVDはお持ち帰りいただけますので、旅の記念になることは間違いありません。(焼き付け時間の都合により、後日郵送する場合もございます)
この旅では、映像翻訳者の一日を体験することができます。映像翻訳者を目指す方も、ちょっと興味があるだけの人もまずは実際の仕事を体験することで、どんな仕事が発生するのか、どんな問題にぶつかるのか、何が楽しくて、何が辛いのか。
本当にあなたにやっていけるのか、そして果たしてあなたは本当に興味があるのか。そんな生の情報を感じ取ってください。
※時間を短縮した
半日体験をご希望の場合は
こちらからお申し込みください。
体験スケジュールおよび内容
時間 | 行程 | 体験内容 |
10:00 | 仕事旅行開始 | 1)自己紹介/体験の流れの確認 |
| 映像翻訳概論 | 1) 字幕・吹き替え・放送翻訳について
2) 字幕翻訳のルール説明 |
11:00 | 翻訳に使用するソフトについて | 1)SSTの説明
2)SSTの使用方法説明 |
12:00 | 休憩 | |
13:15 | 翻訳体験 | 1)翻訳体験 |
14:45 | 字幕チェック体験 | 1)チェッカー業務の体験 |
16:15 | 字幕焼付体験 | 1)Adobe Premiereを使用(予定) |
17:45 | 振り返り | 1)翻訳内容へのレビュー(スタッフから)
2)質疑応答 |
18:00 | 仕事旅行終了! | |