“今あるもので まだないコト”の原点
今回の旅のホストである三星千絵さんは、東京からの移住者。東京の大学を卒業後、広告関連の仕事に就き、昼夜関係なく仕事に追われる毎日を送っていましたが、28歳の時に自身が身を置いている環境や生活に疑問が湧いたといいます。
一念発起した三星さんは、自分が理想とする生活を追い求めるために、千葉県いすみ市への移住を決意。
当初はアパートで一人暮らしをしながら、いすみ市のNPO団体に勤めていましたが、移住から1年が経過した頃、仕事のつながりで、なかなか借り手の見つからない古民家があるという情報を耳にします。
同じ頃、たまたま都内のシェアハウスに暮らす友人を訪れたことがきっかけで、思い切ってその古民家をシェアハウスとして借りることに。「星空の家」と名付けたこの家には、いすみ市へ移住したい若者を中心に受け入れるようになっていきました。
シェアハウス運営から1年半が過ぎた頃、三星さんの耳にある噂が入ります。
「『あの家は、若者が集まって、なにしてるんだ。宗教団体なのか』って、言ってる人がいたよ、と、お世話になっている地元の方から聞いたんです。その方は『あれはシェアハウスといって、三星さんって言う人が住んでいるよ』と言ってくださったそうなのですが、もっと、地元のどんな方でもなじみにある場所にしないと、誤解が生まれ、長く続けていけなくなっちゃうなと思ったんです」。
三星さんは、多くの人が身近に感じてもらえる場所になる必要があると考えるようになりました。
そこで、敷地内にあった納屋を活かして、2014年に「星空の小さな図書館」をオープン。
「図書館だったら、お年寄りの方から子どもまで皆さん親しみやすい。何よりも、私が本が好きだったので、楽しみながら、続けていけると思って」。
三星さんの狙い通り、地元の子どもから高齢者まで、幅広い世代に足を運んでもらえたといいます。訪れてくれた方々に、三星さんが行っている活動について、聞き手が理解しやすい言葉を選びながら説明をしていった結果、多くのファンが増え、図書館だけではなく、シェアハウスについても理解の輪が広がっていきました。
すべてはコミュニケーションから
周囲の人たちとのつながりを大切にしながら、家の“中”と“外”の両面に、適切なかたちで自分の想いをシェアしていった結果、今ではシェアハウス・図書館運営のほかに、カフェ兼シェアスペースの運営も行う実業家へとステップアップを遂げた三星さん。
2018年には、夫と共に、株式会社Starletを立ち上げました。
「まさか自分が会社の代表になるなんて思ってなかったんですよ。ただ、今までやってきたことと、これから挑戦したいことを考えたら法人化した方がいいかなと思ったんです」。
株式会社Starletは、株主が30名近くいるというちょっと変わった株式会社。一人の大株主ではなく、少額の出資者がたくさんいるのです。
自分たちがこれからやっていきたいコトをシェアしていった結果、その想いに共感してくれた人々が、「応援するよ」と株主になってくれたそう。今後も株主さんは増やしていく予定なんだとか。
さらに、今年に入ってまた1つ新たなシェアハウス「星空と長屋門の家」をオープンし、精力的に活動の幅を広げています。
この旅では、三星さんからシェアハウスの管理人に必要なコト、核となることとは何かを伺い、“想いをシェアし、周囲に働きかけるチカラ”を学びます。
ディスカッションの時間も用意していますので、ぜひ今考えていることや、現状悩まれていることなどをお持ちくださいね。
旅が終わる頃には、参加者の全員が言葉を尽くすこと・コミュニケーションの大切さに改めて気付かされるのではないでしょうか。それは、シェアハウス運営だけに限らず、さまざまな場面で活かされていくはずです。