みなさま
「kibidango(キビダンゴ)」というクラウドファンディングサイトをご存知ですか?
近頃では新しい資金調達方法として定着しつつあり、さまざまなクラウドファウンディングサイトが運営されていますが、キビダンゴはその中でも、手厚いアドバイスをもとに、成功率8割と極めて高い数字をほこるサイトです。
先日、その「キビダンゴ」で“よるだんご部(はたらき方共有会)”という面白そうなイベントが開催されると聞き潜入してきました!
「よるだんご部」とはクラウドファンディングという括りから脱して、「会いたい人達と、話したいテーマをとことん語り尽くそう」をコンセプトに始まったイベント。今回は「はたらき方共有会」と題し、「フィールドを制限しない働き方」を実現している5名をゲストにお呼びし、「自分のはたらきかた」をテーマに参加者と語り合いました。
記事:坂間菜未乃(「シゴトゴト」編集部)
「勝てないけど絶対に負けない」コミュニティ作り(鈴木健太郎さん/へんぼり堂)
東京都本土唯一の村、「檜原村」でゲストハウスを営んでいる鈴木さん。2007年に入社したチームラボを5年間の勤務後、退社し、都心部から離れた村にある一軒の古民家を改修しました。
鈴木さんの想いの根底にあったのは、「自分のお金で自分の生活を回して生きる仕組みを作りたい」という気持ち。人と人がフラットにつながり、お互いの暮らしを豊かにしていく、そんなライフスタイルを生む場にするために集落の方々と共同でイベントやプロジェクトを始めたと言います。
ゲストハウスを立ち上げる際、鈴木さんはコストをなるべくかけない工夫をしました。それは古民家をセルフリノベーションすること。知り合いに声をかけた結果、のべ300人以上の人たちがお手伝いに参加してくれたそう。
参加者一同驚いたのは、立ち上げのコストを削減したことで土日だけでもお客さんが入れば黒字になるということ。「いかに働かないか?」を考え続けた鈴木さん独自のアイデアと工夫です。
へんぼり堂には、自分たちでゲストハウスなどの新しいコミュニティ作りをしたいと考える若者が多く訪れるそうです。今後は彼自身の「勝てないけど絶対に負けない」コミュニティ作りのノウハウをシェアし、新しい価値を持った文化として広げていきたいと鈴木さんは話します。帰省する田舎のない都心部の若者にとっては、へんぼり堂が「また帰りたくなる」第二の故郷のような場所になっているのかもしれません。
へんぼり堂
http://henborido.net/
人はナリワイを3つ持つと良い。(伊藤洋志さん/ナリワイ)
「人はナリワイを3つ持つと良い」と著書『ナリワイをつくる 人に盗まれない働き方』(東京書籍)にもあるように、伊藤さんはライター、編集者としてのスキルを活かしながら事業をつくり、1年間を通して複数のプロジェクトを行っています。
伊藤さんの行っているプロジェクトは、それぞれがユニークな着眼点から発想されていて、ついつい身を乗り出して聞いてしまいます。
6日間の修行を経て、参加者全員が自力でパン屋を開けるほどの腕前になることができるという田舎でパン屋になるツアーや、夏のモンゴルで遊牧民族の文化や暮らしを体験するツアー、一週間で竹の家が作れるようになる、タイ武者修行ツアーなど。事業化が難しそうなプロジェクトでも、それぞれのコストを削りながら現地の人と一体になって作り上げています。
「手間のかかることは削りたいし、つまらないものは減らしたい」
在学中は農学部に所属していたという伊藤さん。流通や農協との関わりなど、現在の市場に農業だけで新規参入するのは困難だと考え、和歌山にある友人のみかん農家を手伝いながら、ネット販売を始めたそうです。
暇つぶしに段ボールに描いた落書きが喜ばれ、今では全ての段ボールひとつひとつに直筆で描いてから発送しているのだとか。また、プロジェクトとして自身が楽しいアイデアを形にするのはもちろんのこと、それに集まる人との出会いも楽しみのひとつだそう。その影響で「なんでもできる人だと思われているようです」と話す伊藤さんの表情はいきいきしていました。
ちなみに「ナリワイ」では“生業”という言葉を次のように考えているようです。「個人で元手が少なく多少の訓練ではじめられて、やればやるほど健康になり技が身につき、仲間が増える仕事のこと」(同社ウェブサイトより)。
ナリワイ
http://nariwai.org/
丁寧にひたむきに取材する。(内田靖之さん/仕事旅行社)
仕事旅行社の内田も登壇者として参加しました。
大学の建築学科を卒業してから建築会社に勤め、たまたまあるベンチャー企業に遊びに行った時のこと。社内会議のあたたかい雰囲気を目の当たりにして、「苦しくて当たり前」という仕事の概念が180度転換したそうです。
「仕事は、楽しくてやりがいのあるものだ」。そんな想いを持った彼は、その後出会った代表の田中と共に転職疑似体験サービスという名目で仕事旅行社を始めました。
サービスを始めてからは、試行錯誤の繰り返し。職人などの志を持って働くひとのこだわりを体験することが大切だと思っていた彼ですが、うれしかったのは、その仕事の裏話や現地ならではの話、その人のキャリアが聞けたこと、という感想をユーザーさんからたくさんもらえたこと。
その旅先だからこそ得られる貴重な体験にして欲しい、と旅作り前の取材を丁寧に徹底して行うのが内田スタイル。そんな仕事ぶりを見た、kibidangoのプロデューサーの青井さんからお誘いいただき、現在実施中の
「富山県高岡市の職人仕事特集」が持ち上がったのだそうです。
近頃、仕事旅行社は企業向けの「
仕事旅行社 for Business」をリリース。「こだわりやその人の価値観に刺激を受け、自分の仕事に活かしたいと思える出会いが必ずあるはず」と熱く語っていました。
思わず笑顔になる「しくみ」をデザインする。(中村俊介さん/株式会社しくみデザイン)
福岡にオフィスを構えるしくみデザイン。中村さんは九州大学の大学院でメディアデザインを学んでいた当時、応募したメディアートのコンテストで優勝し、獲得した助成金で当時の同期と一緒に会社を設立したそうです。
当時は2005年。ウェブカメラも一般的でなかった頃、カメラに映る体の動きで楽器を演奏するしくみを開発したインタラクティブアートの先駆けとも言える人物。
およそ10年前に開発された商品が進化し、「KAGURA(カグラ)」というネーミングで再び注目を集めています。近年Intel社が主催した「Perceptual Computing Challenge」というコンテストに出展したところ、優勝して世界一の評価を得たそうです。
現代のテクノロジーを使って再開発し、より洗練されたものになっています。実演もしてくださいましたが、画面の中で音楽を奏でるというのは不思議でありながらも夢中になって魅入ってしまいました!
そのほかにも、「みんなが思わず笑顔になる『しくみ』をデザインする」というコンセプトの元、様々なプロジェクトを展開している中村さん。
LEGO meeting tableという動画では、約10万円相当のレゴを組み立て、テーブル一面がLEGOで覆われたミーティング用のスペースを作り上げる様子が上映されました。実際にLEGOを組み立てていた発案者でもあるデザイナーさん然り、遊び心を忘れない働き方をされているようです。
動画はこちらからどうぞ。(
LEGO meeting table)
しくみデザイン
http://www.shikumi.co.jp/
自分たちの作りたい町を自分で作る!(長友まさ美さん/宮崎てげてげ通信)
「てげツー!」とプリントされたTシャツを着て笑顔で話す長友さん。大学卒業後、アルバイトを含めて就いた業種は約30種類。何事にも高いモチベーションで取り組み、成果を出してきたものの、同僚や部下との気概のギャップを感じ、リーダーシップやマネジメント、コーチングの道に進んだそうです。
相手の気持ちと向き合う中で感じた「自分はどんな人生を送りたいのだろう?」という自分自身への問いに答えるべく始めたのが長友さんの故郷である、宮崎を元気にするWebメディア「宮崎てげてげ通信」でした。
「てげてげ」という宮崎の方言には適当という意味合いがあるのだとか。良い意味でも悪い意味でもよく使われるこの言葉に、宮崎の個性をパワフルにしたいという想いが込められているそう。
Webでの情報発信を通して、地元の人により魅力を感じてもらい、行政やNPOなども一体となれる場、そして若者が気軽にチャレンジできるリアルな場を作りたいというのが長友さんの願いです。「自分たちの作りたい町を自分で作る!」という想いを原動力に、地域プロジェクトに追い風を起こすさまざまな取り組みを行っています。
宮崎のローカルな情報を提供している「宮崎てげてげ通信」。地元から発信する魅力で、県外から訪れる人と人をつなぎ、つながりの輪を大きくしていきたいと長友さん。「宮崎での一期一会の出会いを、ただ訪れるだけの「観光」で終わらせないために、今後も様々な企画を計画中です」とのお話でした。
宮崎てげてげ通信
http://visit.miyazaki.jp/
質問や議論が弾み、膨らみ、予定時刻を大幅にオーバーするほどの盛り上がりを見せたよるだんご部。それぞれ異なるバックグラウンドや働き方のスタイルを持ちながらも、登壇された皆さん全員に共通しているのは、自分の行きたい道を真っすぐ歩いていること。その意志と熱量でフィールドはおのずと超えてしまうものかもしれないと感じました。
株式会社kibidango
http://kibi-dango.jp/
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