弁護士、セミナー主催者、プロコーチ—いくつもの肩書きで働きながら、仕事旅行でも「パラレルワーカーになる旅」の受け入れをしてくださっている新井玲央奈さん。今回は「パラレルワーク」について自身の体験と実践メソッドを執筆してくれました。 「やりたいことを仕事にする」新井さんの“仕事の流儀”とは? 後編です(「シゴトゴト」編集部)
前篇では、僕がパラレルワークを始めたきっかけと、「パラレルワークとは何か?」「パラレルワークの目的」といったことをご説明しました。今回は
「パラレルワークを使って“本当にやりたい仕事”をやっていくことで生じるメリット・デメリット」について書いてみたいと思います。
そのお話をわかりやすくするため、ここでは
●本業=ライスワーク
●本当にやりたいこと=ライフワーク
と呼ぶことにします。
また、特に説明しない限り、「パラレルワーク」とは、前回お話した3つのパターンのうち、「本業で安定を確保しながら、本業以外の時間を使って、本当にやりたい仕事をやること」を指します。
パラレルワークのメリットと始める前に留意すべきこと
《メリット①―生活のことを考えなくて良い》
“ライフワーク”を始めて間もない頃は、そもそも仕事自体が無いという場合も多いです。実力・実績・経験・人脈などが乏しい分野だと尚更です。仮に仕事を頂けても、大きな報酬は得られないでしょう。だからこそ、いきなり起業・独立すると、「食べていけない」という状態に陥ってしまうわけです。
ですからまずは、実力・実績・経験・人脈などを身につけなければなりません。そのためには、とにかく仕事をさせていただくことです。
プロミュージシャンを目指す人が、路上ライブを続けるようなイメージです。実力などが乏しい段階から、「いくら以上じゃないと引き受けない」、「割に合わないのでやらない」と考えていたら、どうなるでしょうか? おそらく、仕事をする機会すら与えられません。
とにかく仕事をさせていただくには、最初はタダや安価で引き受けることも大切なことです。
もし “ライスワーク”がなかったらどうでしょうか? とにかく生活していかなければなりません。
→タダや安価で引き受けている場合ではなくなります
→仕事をする機会自体が得にくいです
→実力・実績・経験・人脈などが思うように身につきません
→さらに仕事が得にくくなります
他方、“ライスワーク”で生活の安定が確保されていたら、どうでしょうか? “ライスワーク”で生活ができます。
→タダや安価でも引き受けられます
→仕事をする機会に恵まれます
→実力・実績・経験・人脈などが身についていきます
→さらに仕事を得られ、報酬も上げていけます
ゆえに「パラレルワークを始めてみようかな?」という方が最初に留意すべきこととして、生活基盤となる“ライスワーク”があるかどうか? は大切だと思います。しかし、そこさえしっかりしていれば、パラレルワークはそれほど特殊な働き方ではなく、思う以上に多くの方々にその可能性が拓けているのでは? というのが、僕が始めてみて、そしてセミナーやコーチングで多くの方に出会ってみての実感です。
考え方によっては、「転職」や「起業」よりもリスクが少なく、「やりたいことがやれる」のがパラレルワークのメリットだと言えるでしょう。
「副業禁止」がルールとなっている企業も多いのですが、そういった組織に所属している方でも、まずは「仕事」や「バイト」ではなく、「趣味」や「ボランティア」という位置づけで始めて、徐々に力をつけていくといったやり方も取り得ると思います。
《メリット②―リスクほぼゼロ》
メリット①でお話したとおり、“ライスワーク”があるので、最大ともいえる「食べていけないかもしれない」というリスクがありません。
先ほどの話と関連しますが、僕は、“ライフワーク”を「小さく始める」ことをオススメします。
完璧にしてから始めなければならないと思っている人は少なくありません。しっかりしたHPを作って、人を雇って、オフィスを借りて、コンテンツも完璧にしないと、始められないと思っているわけです。でも、「今」と「スタート」までの距離があればあるほど、始めることは難しくなります。
そしてそもそも、完璧はありえません。ですから、「今やれることから」やれば良いと思います。
たとえば、セミナーをやりたいなら、まずは読書会から始めて、人脈を作り、生の声を集める。コーチングをやりたいなら、まずは友達に安価で受けてもらう。料理教室を開きたいなら、オリジナルレシピをブログで公開する。実力、時間、資金が限られていれば、その中でやれることをやれば良いんです。
この方法であれば、オフィスや店舗を借りたり、人を雇ったり、設備投資をしたり、法人(会社)を作ったり、ましてや借金を背負う必要もありません。
ネット販売のような場合は、多少の仕入れや在庫を抱えることもありますが、できる範囲でやれば良いんです。受注生産にすればそのリスクすら回避できます(そもそも小さく始める段階で、在庫が大量に余るほどの大量生産はできませんね)。
PCなどの備品が必要な場合は多いと思いますが、既に持っている人も多いはず。ホームページだって、無料で素敵なものが作れる時代ですし、名刺やチラシを作るとしても、かなり安価で可能です。上手にSNSやブログを使えば無料で広報も可能です。
オフィスを借りたり人を雇ってしまうと、「いくら以上稼がないと赤字」というリスクがありますが、そのリスクを冒す必要はありません。一昔前なら、個人がやれることはかなり限られていましたが、つくづく個人が力を持ちやすい時代になりました。
《メリット③―撤退・軌道修正しやすい》
“ライフワーク”は「本当にやりたいこと」ですが、本当にやりたいことは、机の上でウンウン唸って突然閃くものではありません。考えることに加え、行動が不可欠です。そして、「これだ!」と思って行動してみたら、「なんか違う・・・」と思えてくることは、珍しいことではありません。
もし、仕事を辞め、多額の費用を掛けて起業して、その後に「なんか違う・・・」となったら、どうでしょう? そう簡単に辞められませんし、辞めるとしても物凄く大変です。辞めた後は、まずは生活のために仕事を探さなければなりません。
ところが、パラレルワークであれば、「なんか違う・・・」と思ったなら、撤退・軌道修正が簡単です。なぜなら、ライスワークの安定があるので、生活には困りませんし、小さく始めているので、撤退・軌道修正に掛かる労力や費用は少ないからです。
もちろん、あれもこれも手を出して、辞めることを繰り返すと信用を失います。
ですから、始めるときは、可能な限り確信に近づけなければなりません。
それでも、いざとなれば撤退・軌道修正がしやすいというのは大きなメリットです。
パラレルワークのデメリット
正直に申し上げると、“ライスワーク”さえしっかりしていれば、デメリットらしいデメリットはありません。ライスワークで安定を確保しながら小さく始めるので、大きなリスクを背負うというデメリットもありません。
時間も労力も取られますが、本当にやりたいことをやるので、それもデメリットとは呼べません。本当にやりたいことをやろうとすると、周囲から反対されたり、白い目で見られたり、もしかしたら陰口を言われたり、面と向かって嫌なことを言われるかもしれません。
でも、本当にやりたいことをやれることを考えると、これも足かせになるレベルではありません。僕自身は、本当にやりたいことをやらずにいるほうが、人生においてデメリットが大きいと思っています。
本当にやりたいことの見つけ方
ここまで「本当にやりたいこと」とお話してきましたが、そもそもやりたいことが分からない!という方も少なくないと思います。
パラレルワークを実践する際に一番大事なことは、まずは本当にやりたいことを見つけることです。見つける方法は様々ですし、ここを語りだすと紙面が足りないので機会を改めてまた書いてみたいとも思いますが、ひとつだけお伝えしておくと、有効な方法は、様々な「人生のサンプル」を集めることだと僕は考えています。
人は、知らないものを望むことはできません。様々なサンプルを集めることで、自分が望む人生が見えてきます。本当にやりたいことが見つからないのは、知っているサンプルが少なかったり、タイプが限られているからかもしれません。
僕は、本を通じて理想とするサンプルに出会うことができました。
今までの行動範囲で集められるサンプルは限られていますので、行動範囲を広げてみてください。加えて、人の手を借りることです。セミナー、コーチング、あるいは信頼する人に相談するのも良いでしょう。
ただし、「絶対これ!」という確信まで持てなくても大丈夫です。先ほどお話したとおり、パラレルワークでは撤退・軌道修正が容易だからです。
考えすぎて行動に移せないより、ある程度考えて、行動して、また考えてという繰り返しを想定しています。最初からすべてを計画することはできませんし、行動すればするほど色んな出来事が起こることが醍醐味でもあります。
最後に
いかがだったでしょうか?
本当にやりたいことは、四六時中考えていても苦になりません。時間を忘れるほど没頭できます。モチベーションを上げようとしなくても、自然と行動力が湧いてきます。もちろん大変なこと、面倒なこと、嫌なことはあります。
だけど、ベースが「本当にやりたいこと」ですから、好きでもないことを我慢しながらやるのとは、根本的に違います。
本当にやりたいことは、とてつもない充実感をもたらしてくれます。
今すぐ仕事にならなくても。
今すぐ大きな収入は得られなくても。
今すぐ自信が持てなくても。
今できることをやっていくことで、「いつか」と思っていたことが現実になります。
パラレルワークを実践するために、特別な才能やスキルはいりません。ここまでお話してきたとおり、大きなリスクを伴うこともありません。小さく小さく始めていけば、忙しい毎日の中でも、やれます。
あなたは、「やれること」をやっていく人生を選びますか?
それとも、「やりたいこと」をやっていく人生を選びますか?
「やれるか・やれないか」で選ぶのか、「やりたいか・やりたくないか」で選ぶのか。
この差は大きいです。どちらが良い・悪いではなく、どちらが好きかという話です。
「やりたいか・やりたくないか」で選んだ後は、「やるか・やらないか」です。「やる」という選択をすれば、自ずと道は開けていくと信じています。
僕はそういう方を応援したいと考えており、「Let’s Small Start!!コーチング×コンサル」というサービスで、本当にやりたいことを発見し、それを小さく始めていくサポートを行っています。Skypeやメールでも可能ですので、ご興味ありましたらお問い合わせください。
「Let’s Small Start!!コーチング×コンサル」
http://small-start.strikingly.com/
パラレルワークに限らず、自分がやりたいことを見つけたい方や人生をより良くしたいという方へのコーチングも行っています。
http://reo7-coaching-seminar.strikingly.com/
【プロフィール】
新井玲央奈(弁護士/プロコーチ/セミナー主催者)
『意識と努力で人生は好転する!』というメッセージを多くの人に伝える、という人生の目的のもと、本当にやりたいことを実現させたい人/本当にやりたいことが分からない人/自分軸が定まらない人/自信が持てない人などに対し、“自分だからこそ生きられる幸せな人生”のきっかけとなるため、セミナー、コーチング、ブログなどの活動を行っています。
公式HP:
http://reo7.araioffice.jp.net/personal/