「自分らしい働き方」みたいな言葉に漠然と憧れている。だけど「これがやりたい!」という明確なものがあるわけでもない。とはいえ「今のままじゃいけない」ということは感じる。そういった漠然とした気持ちを抱きながら働いている20代の方は多いのではないでしょうか? かく言う私(編集部・河口)もその一人。
今回はそういった"モヤモヤング"にピッタリな本をご紹介します。その名もズバリ『20代に伝えたい50のこと』(著・秋元祥治 )。
著者の秋元さんは、大学在学中の21歳のとき(2001年)、NPO法人「G-net」を立ち上げた人。G-netは岐阜を中心に、地場産業・伝統産業・まちおこしなどの長期実践型インターンシップを事業とする法人です。
G-netで代表を約16年勤めたあと、2013年からは中小企業相談所「岡崎ビジネスサポートセンター・OKa-Biz」のセンター長に。OKa-Bizは「行列のできる中小企業相談所」とも呼ばれ、予約が1ヶ月待ちになるほどの人気相談所とのこと。
『20代に伝えたい50のこと』には、著者が考える「自分らしく働くための50のヒント」が書かれていますが、それはどんなものなのでしょう? ここでは本書を読んで私が気になったチャプターを5つ選んでご紹介したいと思います。
自分も他人もシンプルに見極めたい
やりたいことを見つけるシンプルな方法(P.34)
やりたいことをシンプルに見つけるにはどうすれば良いのでしょう? このチャプターには
「目についたら行ってみる、誘われたら断らない」ことに3か月真剣に取り組んでみる方法が紹介されていました。
この方法は、秋元さん自身が「何か面白いことしたいけれど、具体的には何もなかった」若い頃に、佐藤孝治さん(ジョブウェブ取締役会長)から教えてもらったもの。
「どんな仕事を自分がしたいのか、どの会社が合っているのかわからない人こそ、10倍会社を回ればよいのです」とも書かれていましたが確かにシンプルですね。
シンプルだけれどあまりだれも本気で実行はしない。そんな地道なことの積み重ねから「やりたいこと」は見つかっていくものかもしれません。
交流会へ行くのも名刺集めも、人脈作りじゃない。一番の近道で、効率がよいこととは(P.143)
交流会などで交換した大量の名刺のうち、顔や話した内容を覚えている人数はどのくらいでしょうか? 秋元さん自身、20代前半の頃は「人脈作りには欠かせない!」と交流会によく参加されていたそう。
しかし、あるとき
「相手にとって覚えておきたい、つながりたいと思われる自分でなければ関係は作れないし、続かない」ということに気付きました。つまり人脈作りの大事なポイントは、
「つながりたいし関係を持ち続けたいと、相手から周りから思われる自分自身になるということなのです」。
この指摘もシンプルですが、個人的には大いに共感。私も以前から「そこじゃない!」と感じてはいました。ただ、先方から「つながりたい」と思われる自分自身になるにはどうすれば良いのか? それが難しい。自分なりに考えてみようと思いました。
誰と付き合うか、は人生を変える。僕が大事にしてきた、怪しい人の見分け方(P.169)
気になるチャプタータイトルです。「怪しい人」って一体…。でも、経験の浅さからいつの間にか怪しい人とお近づきになり、気づいたら怪しいビジネスに足を踏み入れてしまっていたーーなんて経験はできれば避けたいもの。
本書にも書かれているように、怪しい人って意外と一見魅力的だったりもするんですよね。でも、あんまりその人脈に深入りすると、己の人生を見失ってしまいかねません。
秋元さん自身が大事にしてきたことは「ルイ友」。つまり「怪しさ」を見極めるポイントとなるのが「友人の友人」。友人には直接会ったりして人間性にふれるため、「怪しさ」にも気づきにくいものですが、その人の友人ならもう少し客観的に見られそうです。
なにより
「誰と付き合うか、は人生を変える大事なこと」ですから、付き合う人は選びたいですね。言われてみると当たり前の話ではありますが、やっぱり大事なこと。
「わかる」と「できる」は違う。今日から始める・続けることが大事
チャンスは、本当は誰にでも平等にやってくる。大切なのは「気づける」自分になること(P.213)
「チャンスがあればなあ…」なんて思わず呟いてしまったことはありませんか? 私はあります。
秋元さんは、
「チャンスは、準備している人のところにだけやってくる」と考えています。
例えば、上司から資料のコピーを頼まれたときも、ただコピーをとる「雑用をする人」と、コピーを取りながら「資料を読む人」が世の中にはいます。
ある日「企画書を作ってみる?」と言われ、「雑用をする人」は「そんな無茶ぶり、できません」と言いました。でも、「資料を読む人」は資料を読んでイメージがつかめているので「はい、やってみます!」と言いました。
「コピーを取る」という単純作業でも、取り組み方によって"その後"が変わってくるというケーススタディ。
織田信長に草履を出すという簡単なお仕事でも、ウェイティングタイムに懐で草履を温めてから出すひと工夫で出世した豊臣秀吉ではありませんが、準備をしていた人とそうでない人では、チャンスを活かせるかどうか? はやはり変わってくるのでしょう。
20代のうちに”一流”に触れておこう。いいモノを知らなければ、悪いモノもわからない(P.232)
これは秋元さんだけでなく、多くの先人たちが指摘する自分成長のキーワードです。
秋元さんが幼少期に一流の旅館やホテルでに滞在したときのこと。「その場に流れる清浄で上質な空気。そこにいる人たちの立ち振る舞い。言葉遣い。話題にしていること。サービス。」に、
プロと呼ばれる人たちの仕事を体感したそう。
一流を体感するために、まず簡単にできることの例として「コーヒーチェーンではなく、ホテルのラウンジでコーヒーを飲んでみる」といった方法が挙げられていました。
「いいモノを知らなければ、悪いモノもわからない」と同時に世間では、「関心があるものだけでなく、関心のないものにもふれる機会を持つ」といったこともよく言われますが、自分の半径3mより外側の世界を知ることは、やはり大事なのだと感じました。
『20代に伝えたい50のこと』にはほかにも45のチャプターがあります。しかし、本書が紹介する「50のこと」をすべて実行せねば、と著者は主張しているわけではありません。あとがきでは、
「小さくても始めてみること。そして、少しでもよいから続けていくこと」が重要だと強調しています。
「わかると、できるは違うんだ」
きっかけを掴んでまずやってみてほしいーーそれがこの本のメッセージなのでは? と感じました。
記事:河口茜(シゴトゴト編集部)
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