今回は、1月26日に行われたイベント「ローカルキャリアナイト ~地域をつくる働き方を知る~」(主催:一般社団法人地域・人材共創機構)のレポートをお送りします。
日本の人口問題が地方に与える影響
2018年1月29日の総務省の発表によると、東京圏の転入者が転出者を11万9779人上回る「転入超過」だったそうです。
転入超過は22年連続で、超過人数は2年ぶりに増え、09年以降で最大とのこと。
政府は少子高齢化による人口減少と歯止めをかけるために、出生率の低い東京からの転出の増加を目指しています。
2015年から「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、様々な施策を実施してきました。2020年までに地方から東京圏への転入者を6万人減らすことを目標に取り組んでいますが、29日の発表を見る限りは上手いっていないのが現状と言っていいでしょう。
東京への人材の流出によって、地方が抱える「労働人口の減少による経済の縮小」や「少子高齢化」などの課題は日に日に大きくなっています。
平成26年度国土交通白書によれば、地方自治体で人口減少が進む事で、次のような生活への具体的な影響が発生するとされています。
(1)生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療機関等)の縮小
(2)税収減による行政サービス水準の低下
(3)地域公共交通の撤退・縮小
(4)空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地等の増加
(5)地域コミュニティの機能低下
このような問題が既に多くの地域で起こっているものもあれば、まだ顕在化するには至っていないものもある。いずれにしても、このままいけば地方で上記のような問題が深刻化するのは間違いなさそうです。
地域とつながる”はじめの一歩”
地方が抱える課題に対して取り組むのが、イベントを主催する「一般社団法人地域・人材共創機構」(上写真)
同団体が取り組む、CareerForという事業のメンバーがイベントに参加しました。CareerForは、一般社団法人 地域・人材共創機構という団体が取りまとめをし、5地域が連携して「地域課題の解決と、そのために必要な人材の地域への還流」に取り組む事業です。
「Career For」は一般社団法人地域・人材共創機構が実施する「地域課題の解決と、そのために必要な人材の地域への還流」に取り組む事業です。地方で働くことにチャレンジする人が増えれば、地域の人口も、課題解決のための人材も増えることになります。
今回のイベントは、すでに地域で新しい働き方にチャレンジする運営メンバーと、移住や地域課題の解決に関心のある参加者との交流が目的。
新しい仕事に取り組む上で、「どんな人がいる地域なのか、どんな人と働くのか」はとても重要ですよね?
最初にこうした交流会をすることで、運営者と参加者のその後のコミュニケーションはとても取りやすくなると思います。
参加者は
・地域をテーマにしたwebメディアの人
・地域おこし協力隊員
・地方創生に取り組む大手人材会社の人
・岩手県で地元の町長を目指す大学生
など、様々な形で地方に関心を持つ方ばかり。
主催者が用意してくれた地域限定のお酒を飲みながら、同じ志向の人たちと楽しく交流することができました。
「3月から塩尻市で地域おこし協力隊に着任します。」というのは、大学院生の立川さん(写真右)。大学で学んだ建築学を生かし、塩尻では大好きな古民家の再生に関わっていくそう。このイベントは、自分と同じように地方での仕事に興味がある人とつながる貴重な機会になったそうです。
発足メンバーは全国5地域でローカルキャリアを広げる活動を連携して取り組み中
全国5地域から集まった発足メンバー
主催のCareer Forは発足から約一年の若いグループ。今回が初めてのオープンイベントで、公式のWebサイトもまだありません。
メンバーは岩手県釜石市、石川県七尾市、島根県雲南市、長野県塩尻市、岐阜県関市の5地域で、それぞれの「ローカルキャリア」を実践してます。
主催者の一人で、岩手県釜石市役所に努める石井重成さん(上写真:左から2人目)は、「Career Forを通じて複数の地域が力を合わせて『地域で働くこと』『複数のキャリアに挑戦すること』の魅力をもっと広め、地方で自分らしく働く人をもっと増やしていきたい」とのこと。
実際に様々な人とのコミュニケーションを通じて、地域の仕事にチャレンジしてくれる移住者を50人以上増やすことができたそうです。
Career Forのメンバーは、都会ではなかなか出会えないユニークな経歴を持つメンバーが多くいます。メンバーの一人である宇野由里絵さん(上写真:右)は、まさに「地方で自分らしく働き方」を見つけた一人。
宇野さんは島根県と兵庫県の計4つの職場で働いています。そう聞くと大変そうに聞こえるかもしれません。しかし、「仕事の息抜きは他の仕事でする。何かうまくいかないことがあっても、他の職場で良いことがあったら生活は楽しく、豊かになります」と笑顔で語りました。
地方でのパラレルワークを本当に楽しんでいることが伝わってきます。このように自分らしく働くメンバーと交流すれば、「自分らしい働き方」のヒントが見つかる気がしませんか?
今回のような交流会をキッカケに、Career Forの取り組みから地域で新しい働き方にチャレンジする人が生まれる日も近いのではないかと感じました。
Career Forでは、3月にも「ローカルキャリア」の可能性を語り合うイベントを開催予定です。「自分らしく働く」「地方で仕事をする」ための情報や支援してくれる仲間や自治体との関係など、様々なものを得られる貴重な機会になるはず。少しでも興味がある方は、参加を検討してみては?
「Caree For」のFacebookページ →
https://www.facebook.com/careerfor/
記事・写真:湯浅章太郎
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