どんな会社にもデキるビジネスパーソンがいるものですが、そんな人は必ず「○○力」と言い切れるスキルを持っているもの。そんな能力が天性の才能、という人もいますが、多くの場合は、これまでの経験で培ったものでしょう。
そこで今回は、活躍を支えるスキル「○○力」をキーワードにして、その道で活躍する人のスキルと、備わった経験についてインタビューを敢行。
あわせて現職の魅力や活躍ぶりなど、リアルな部分もお楽しみください!!
コワーキング運営会社で営業!? 仕事の中身とは
今回、取材にご協力いただいたのは、大阪屈指のビジネス街・OBP(大阪ビジネスパーク)に開設されたコワーキングスペース「OBPアカデミア」さん。
こちらはなんと、最近ある大学の調査で「セミナーや講演会などのイベント開催数が日本一」という結果が判明したそうで、業界ではちょっとだけ話題になっています。
イベントの中身を見れば、ビジネス、文化、趣味、スポーツなどジャンルも多彩。その数はなんと、多い月には100本を超えるそう。
そうしたイベントの企画立案から準備、コーディネート、さらには新規講師の開拓まで関わるのが、コワーキング運営会社である株式会社まなれぼの営業部マネージャー・時任啓佑さんです。
――コワーキングスペースの運営会社で「営業」って肩書き、めずらしくないですか?
時任:同業の人とよく話をしますが、まあ出会ったことはないですね。基本的にコワーキングの運営会社は、名前通り「運営」が主な仕事ですから、施設や会員さんへのサービスに目を向けることになりますし、それだけでも大変な業務量ですから。
そんな中で当社は、OBPという「まち」の活性化を事業目的にしているので、いわゆる外部との連携、そして内外の交流を生み出そうと営業部を設置しています。
振り返れば、2年ほど前までは週6でいろんな異業種交流会へ足を運んでPRしていましたね。それが今では、「OBPアカデミアって、常に何かやっているスペースやね」って、多くの人に知ってもらって、人が集まってくる「場」になりました。
――週6で異業種交流会へ参加とはスゴイ! その甲斐ってありました?
時任:とにかく、多くの人と出会うことができて、OBPアカデミアを知ってもらいました。そうすると、開館当初にやっていたような「開催したい人を見つけて、こちらからアプローチする」ということはずいぶん減って、最近では「講師や主催者が自ら考えて、ご相談いただく」というのがほとんどです。
ちなみに、うちで開催したイベント数を先日カウントしてみたんですが、2015年10月のオープンから2017年末までで、なんと1490回!
僕は営業として、最初のうちは企画を立てるところからお手伝いしていましたが、最近は「より良いイベントにする」アドバイスや「魅力を引き出した情報発信のお手伝いをする」ことが多いですね。
とにかく、コンテンツをいい形でまとめるというか、開催する側と受講する側とも満足できるような形に着地させていくというか。
ただ熱中しているだけかも知れませんが・・・(笑)
とにかくモノがない! 震災直後に培った「力」
――熱中できるって性格によるところが大きいと思うんですが、お仕事内容を聞くと、機転を利かせるとか、情報を受け取る人がわかりやすいようなカタチにするって能力があるんだと思いますよ。そんな能力を身につけたきっかけというか、原点となった体験ってありますか?
時任:少しずつスキルアップしていると思うんですが、その原点となると、3・11東日本大震災の復興ボランティアですね。
僕は神戸にある大学の情報学部で学んでいたんですが1995年に阪神・淡路大震災を経験したこともあり、2つの地元ラジオ局と大学の間で災害時に緊急ラジオ局を立ち上げる共同プロジェクトがあり、参加していました。
実は、その半年後に東日本大震災が発生して、県に「生活情報を伝える、緊急ラジオ局を町で立ち上げて欲しい」との要請があったそうです。それで大学へ応援要請があり、ちょうどプロジェクトに参加していた僕らに白羽の矢が立ったんです。
場所を聞くと、宮城県の南三陸町とのこと。僕らはテレビの映像しか見ていませんが、すべてが波にさらわれた町だということは知っていました。
そうなれば、情報を伝える手段は音と紙の文字くらいでしょう。共同プロジェクトの経験もあったので、いかにラジオが必要とされているか・・・そう思ったら、自分が行かないとって強く思ったんです。
――震災直後は多くの人がラジオから情報を得ていましたから、町では歓迎されたでしょう?
時任:もちろん感謝の言葉をたくさんいただきました。でも、最初から全員に歓迎されて、というわけでもなかったんですよ。
想像してもらえれば理解できるかも知れませんが、ラジオの放送設備は、みなさんが避難している体育館の隅に機材を持ち込むわけで、それなりに場所も取りますし、騒がしくもなります。
また、伝えるべき情報をもらいに各所へまわっても、ラジオの重要性を理解いただけないとなれば、邪魔もの扱いされることもあるんです。
ある場所で「ここの情報を伝えられれば、多くの人に役立つ」ということがわかっていたのに、相手になかなか理解してもらえず、情報をもらえないということがありました。
きっとラジオの重要さを知らないだけなので、こんな時は、どんなに説明しても、感情的になってもダメです。手法ではどうしようもない。だから笑顔をつくって、毎日通いました。
それで5日が経って、その場所へ伺ったら、なんとラジオが流れていたんです。で、「明日から毎日取りに来い」ってメモを渡されて。この時は、心が通じ合った瞬間の嬉しさでいっぱいでしたね。
――ボランティアは何日くらいだったんですか?
時任:僕らは立ち上げるまでが仕事なので、10日間だけだったんです。ボランティアは4人だったので、アナウンスやミキサーなどの技術指導、番組の作り方、インタビューや取材の基礎など、ラジオをやるのに最低限必要なスキルを地元スタッフに伝えながらの放送でしたが、ずいぶん熱中してやってましたね。
そうしてラジオ放送が始まったんですが、ラジオ局が立ち上がるのを機に情報が集まり、人が集まる「場」が生まれていくことが感動的で。
熱中して取り組んでいれば、自然にスキルが磨かれる
――先ほどの「情報が集まり、人が集まる」っていうのは、現職の内容とよく似ていますよね。
時任:そうなんです。今の会社で、この仕事に出会った時に「これがやりたかったことや」って思いましたし、社長も信頼して任せてくれるので、思いっきり仕事に打ち込んでいます。
さらに、先ほどの復興ボランティアの経験も、前職で教育系の営業をしていたときに学んだスキルも、すべて現職で生かされています。ホントに人生って不思議ですよね。
とはいえ、まだまだできないこともあります。でも、そんなときに何があっても、「なんとかしよう」って、少ない経験の中から絞り出すんです。そのくり返しで、自然にスキルといえるだけのものが磨かれていくんだと思います。
――熱中できる仕事。これがある人は本当に幸せだと思います。
時任:僕はたまたま、過去にやりたいと思っていた仕事と出会うことができたんですが、熱中できる理由って、仕事の中身がどうかだけじゃないと思いますよ。
誰かのためだったり、仕事をしている自分の姿だったり。熱中できる理由は千差万別です。
さらにいうと、何が何かよくわからなくても、一生懸命仕事をしていて、ふと熱中している自分に気づくかも知れません。また、もっと未来に熱中できる仕事があるかも知れませんし。
僕も前職は、自分の感情にずっと気づかないまま、ただひたすら仕事をしていましたから。
本当に人生ってムダがないなって思います。全部意味がある経験ですよね。だから焦ったり不安がったりすることなく、今日も全力で仕事をしようと思います。
(聞き手・構成:小田宏一)
※この記事は仕事旅行社による
「編集職人募集プロジェクト」 のトライアルとして作成されたものです。
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