2017年10月13日更新

カメレオン女優・鈴木つく詩がゆくvol.1ーSTORIES®代表・鈴木智也さんに仕事とは? を聞いてみたー

バーで、カフェで、リビングで。今日も街のあちこちで、シゴト談義がされています。

経験豊かな"おとな"に、「はたらく」ことについてぶっちゃけの質問をできるのは若者の特権。

この連載は「カメレオン女優」を目指す鈴木つく詩さんが、仕事でご一緒した方や憧れのプロフェッショナルに、「どうやれば女優として成長できるでしょうか?」 を尋ねて歩く学びの物語です。

第一回目のゲストは、STORIES®の代表、鈴木智也さん。つく詩さんは「あなたとクルマの物語」をテーマにしたスバルのTVCM 『Your story with』シリーズのうち、「灯台」篇を原作にしたスペシャルドラマ『Lighthouse』にて主演を務め、同作にて監督・プロデュース・脚本を手がけたのが智也さん。

ひとつの映像作品がどうやって生まれるのか? 女優と監督のシゴト談義に耳を傾けてみましょう。

※スペシャルドラマ『Lighthouse』の動画はこちら!


鈴木つく詩(すずき つくし)さんのプロフィール

女優
神奈川県横浜市出身。2017年スバル自動車「Your story with」でヒロインを務める。また、これまでも2006年日本テレビドラマ「マイボス☆マイヒーロー」で梅村のぞみ役を演じ、井上苑子「大切な君へ」、BLUE ENCOUNT「だいじょうぶ」のPVにも出演するなど、「カメレオン女優」を目指してテレビ、映画、舞台など幅広く活動中。2018年公開予定の映画「おみおくり」(高島礼子主演)にも出演。2017年ミスユニバースジャパン神奈川大会ファイナリスト(プリンセス賞受賞)。


鈴木 智也(すずき ともや)さんのプロフィール

STORIES®, LLC. / STORIES® INTERNATIONAL, INC.
CEO
98年博報堂入社、メディア環境研究所等で次世代メディアビジネスの研究・コンテンツプロデュースを担当。2011 年博報堂DY・セガなどの出資で STORIES®を設立、CEO就任。STORIESに所属する30名以上の日米クリエイターと共に50本以上のブランデッドエンターテイメント・CM・イベント等をプロデュース。Marc Plat(La La Land)をパートナーに“SHINOBI”、Walking Dead プロデューサー陣と“ALTERED BEAST”等をハリウッド映画として企画開発進行中。プロデュースしたTSUYAKOはアカデミー賞公認映画祭3つを含む44の映画祭で受賞。USC映画大学院プロデューサー学科卒業。2017年カンヌライオンズ・エンターテイメント審査員 www.STORIES-llc.com


「この役者うまいな」と観る人に思われてはいけない


つく詩さん:実は『Lighthouse』は、台本を一回見ただけで涙が出てきちゃって。「すごくやりたい!」って思った作品だったんです。

智也さん:そうだったんですか! たしかにオーディションでは、私がイメージしていた「ハルナ」というヒロインの行動や佇まいのイメージと、つくしさんのイメージがピッタリだな、という印象がありましたね。

つく詩さん:はい、自信はありました(笑)。

智也さん:ははは(笑)。

つく詩:なんでなんだろう……。「なんかハルナって、ちょっと私っぽいな」と思うところがあったんですよね。実際に演技をしていても、役が自分の中でしっくりきていて、悲しいシーンも楽しくて。そういうときって、周りの目を気にしないし、見えてないものが見えてる感覚になるんです。涙を流すシーンでも、スーッと自然に涙が流れてくる感覚がありました。

智也さん:役に入り込めていたんですね。



つく詩さん:そうかもしれません。『Lighthouse』に限らず、オーディションではその役と役者のイメージが合うかを見ているんですか?

智也さん:そうですね。実は、演技のうまさだけを見ているわけではないんです。演技がうまい人ならたくさんいますから。演技よりも大切なのは、そのキャラクターそのものに見えるかどうかです。

つく詩さん:そのキャラクターに見えるかどうか。

智也さん:ええ。映像を作る時に監督や製作者が避けなきゃいけいないことは、「この役者、演技がうまいな」と観る人に思われることなんです。役者だと意識されないくらい、自然にそのキャラクターになれる役者が最適です。だから今回も、ハルナの役のイメージにぴったりだったつく詩さんにヒロインの役をお願いしました。

物語の中に商品が自然に入り込むような表現を


つく詩さん:私は10歳の頃から役者をやっているのですが、『Lighthouse』はストーリーが好きで、特に思い入れが強い作品になりました。智也さんはこの映像を作る時、どのようにストーリーを考えていったんですか?

智也さん:作り方としては、まず90秒のお話を作って、そこからストーリーを膨らませていきました。今回はスバルの車のプロモーションという目的があったんですが、広告の手法として一般的な「プロダクトプレイスメント」のように、単に映像の中で商品を映すというのではなく、エンターテイメント性の高い物語の中に商品やブランドの良い部分が重要な役割を果たす表現にしようと考えていました。「ブランデッド・エンターテイメント」という手法で、広告業界でも非常に注目されている手法です。

つく詩さん:なるほど。だから、物語のなかで車が重要な役割を果たしているんですね。

智也さん:そうです。灯台の光に込められたメッセージを、自分で運転する車からハルナに送ることで彼の成長が完結する……という物語にしたのは、そういった背景がありました。



つく詩さん:出来上がった作品を観て、なんだか映画のようだなぁって。

智也さん:私たちSTORIESは映画の製作にも取り組んできた会社なので、今回もテレビドラマの枠に収めようという意識はなく、「短編映画を作る」ってスタンスで作っています。「短編映画がたまたまテレビドラマやネットで放映・配信され、さらに広告としてブランドをプロモーションする機能も持っている」っていう意識でした。

つく詩さん:そうだったんですね!

智也さん:オーディションでも、「テレビドラマで求められるような、わかりやすい演技は求めてないですよ」と役者の方にはお伝えしてました。わかりやすさより、「そのキャラクターだったらそう行動するんだろうな」と思える納得感が、いつも大事だと考えています。

「カメレオン女優」になるために



つく詩さん:『Lighthouse』のハルナもそうですが、女優っていろんな人生を体験できるのがすごく楽しいなぁ、って思うんです。最近はお母さんの役とか、いじめっ子の役とか、ぶりっ子やキャバ嬢の役とかをやらせていただいていて。

智也さん:いじめっ子なんて、自分ではできないですからね(笑)。

つく詩さん:そうなんです。それで私、「カメレオン女優」を目指そうかと(笑)。

智也さん:カメレオン女優。

つく詩さん:はい。お母さんでもいじめっ子でもぶりっ子でも、どんな役にでもなりきれる、カメレオンみたいな女優です。でも、そのためにはどのようなことをしていけばいいのかなって、ちょっと迷っていて。なにかアドバイスはありますか?

智也さん:なるほど。そうですね……。「演じる」んじゃなくて、「そこに存在する」ための方法を身につけることが大事かもしれないですね。

つく詩さん:「演じる」んじゃなく「存在する」方法ですか?

智也さん:そう。言い方を変えれば、そのキャラクターに入り込むための方法というか。役者さんは、それぞれ役への入り方を持っているはずです。例えば基本的なことで言えば、そのキャラクターはどういう場所で生まれて、どんな幼少時代を過ごして、誰とどんな関係を結んで、どう挫折して……っていうように、人生のトレースしていく。そうすることで、そのキャラクターを深く理解してなりきる。

つく詩さん:たしかに、そのキャラクターを理解するのは大切ですよね。私も、お母さんの役をやるときは赤ちゃんの人形を抱いて重みを感じたり、そのキャラクターが生まれてからのことを箇条書きで何ページも書いたりはしていました。

智也さん:あとは、自分の好きな役者の成長の仕方を調べてみるといいかもしれない。たとえば、私はアメリカの俳優のマシュー・マコノヒーはすごいと思います。彼って、映画のなかではそのキャラクターにしか見えなくなるんです。『インターステラー』なら宇宙飛行士にしか見えないし、『ダラス・バイヤーズクラブ』ならエイズ患者のカウボーイにしか見えない。そういった役者が、どうやってそのスキルを手に入れてるのかを調べてみるといいと思います。

つく詩さん: うーん……なるほど! いろいろな役者さんの「役への入り方」を知ることで、自分なりの方法が見つけていくんですね。

智也さん:そうです。そうした積み重ねをしっかりやっていけば、カメレオン女優になれると思います。

27歳で志望動機を見直したことがキャリアチェンジのきっかけ





つく詩さん:智也さんは東京とロサンゼルスを行ったり来たりしながらコンテンツのプロデュースをする、という仕事をしていますよね。そんな姿に憧れる人も多いと思うのですが、どのような経緯でいまのような仕事を?

智也さん:もともとは新卒で入った広告会社で、広告の仕事をしていました。やりがいもあってとても楽しく働いていたんですが、27歳のとき、就活の際に書いた志望動機を見直す機会があったんですよ。

つく詩さん:志望動機、ですか。

智也さん:そうです。そこに「進化するネット社会で、コンテンツの投資・プロデュースをしたい。日本のコンテンツで世界に勝負したい。」って書いてありました。それを読んで「自分が取るべき道は、これだ」と、改めて思いを強くすることができました。

つく詩さん:海外と日本を股にかけてコンテンツをプロデュースする今の働き方の原点が、志望動機に書かれていたんですね。でも、それまでやってきた仕事を手放すのは勇気がいりませんでしたか?

智也さん:たしかに、会社のなかでも楽しく仕事ができていたので、その仕事を続けていく方がやりやすかったと思うんですよね。でも「もう一回、原点に戻って自分の進むべき道を進もう」という気持ちが強くあって、ではそれを実現するためには誰に応援してもらう必要があるのかということを考えて、応援してもらいたい人に自分がやりたいことを説明して回りました。

つく詩さん:まずやったのは、人に会うことだったんですね。

智也さん:私の高校の頃からモットーが、“人生は運と縁”なんですよ。コンテンツのプロデュースをしたいと思った時には、著名な映画監督やプロデューサーをたくさん輩出している、南カリフォルニア大学フィルムスクールに留学することができましたが、そこでも憧れていたプロデューサーのスティーブ・ゴリン(アノニマスコンテント社CEO)にメンターとなってもらうことができたり、今一緒に会社で頑張る仲間に出会えたり、本当に運と縁が大事だなぁと感じています。

つく詩さん:すごく運がいいんですね。

智也さん:そうですね。自分はすごく運がいい方だと思います。でも運って、「どれだけ自分がそれをやらないと気が済まないか」に左右されるんですよ。当時は「これをやりたい!」という気持ちが明確だったことが、“運と縁”を引き寄せられるのだとも思います。

つく詩さん:その意味では、今は「やりたい!」と思っていることはありますか?

智也さん:ハリウッドやアジアで感動を届けられるエンターテイメント映画を製作していくことと、世の中を変えるような圧倒的な広告を作るお手伝いをすること、仲間のクリエイター達が最高のチカラを発揮できるような場所を作ること、ですね。すごく難しそうに聞こえるかもしれないけど、「火星に行って石を拾ってくる」って言ってるわけじゃありません。これまでも他の誰かがやっていることなんですよね。だから、すでにある方法論を学ぶことで、必ず達成することができると思っています。

つくし:すごいなぁ。こうやって智也さんと仕事のお話をするのは初めてだったんですが、カメレオン女優になるためのヒントがすごくいただけた気がします。今日はありがとうございました!

智也さん:ありがとうございました。



いかがでしたか? お2人のシゴト談義から、女優とプロデューサーという仕事の一端が垣間見えたのではと思います。

仕事やキャリアのヒントは、意外とこんなシゴト談義から見つかるもの。みなさんも今日は仕事を早々に切り上げて、シゴト談義をしてみては? 

取材・構成:山中康司(働き方編集者)+銀河ライター
ロングインタビュー: 2017年10月13日更新

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