あなたも“ヘッドハンター”に？ 「SCOUTER」に見る転職プラットフォームと副業のいま

2010年代後半。“一歩先”の転職はどこに？

転職や副業が“ブーム”とまで言われる昨今、そして人手不足も叫ばれる近頃。

ワークスタイルの多様化に応える様々な求人マッチングサービスが誕生しています。仕事旅行社が提供する「おとなのインターン」もそういった試みのひとつです。

SNSを採用・転職に活用する「ソーシャル・リクルーティング」はすでに定着した感もありますが、最近では社員の人脈を活かして優秀な人材の確保を進める「リファラル・リクルーティング」（広い意味での縁故採用）にも注目が集まっている模様。

2010年代も後半に入り、転職・人材紹介のマーケットにおいても、多くの人と企業が2020年以降を念頭に“一歩先”を試行錯誤するフェーズに入っているようです。

「その方面での先進的試みがないだろうか？」とネットで色々探していたところ、株式会社RENOが立ち上げた「SCOUTER」というサービスがヒットしました。

★「SCOUTER」公式サイト

こちらは転職エージェントや企業の所属社員の人脈経由ではなく、社外の見知らぬ個人からダイレクトに人を推薦してもらうサービスのようですね。

「SCOUTER」はこの春にローンチしたばかりのもののようですが、「日本初のソーシャルヘッドハンティング」を謳うなど、新しい試みとしてちょっと興味深いと感じました。

友人・知人を輝ける職場に推薦する

ここで言う“ソーシャルヘッドハンティング”とはいったいどんなものなのでしょう？　　

「SCOUTER」のサイトでは同サービスを「ユーザーが企業と転職者をつなぐ転職プラットフォーム」と説明しています。

一番の特色は、登録ユーザー（審査制）が“キャリアアドバイザー（スカウター）”となり、求人を募集している企業に知人を紹介できるシステムになっているところでしょう。

ようするに「あなた（ユーザー）が“ヘッドハンター”になれる」ということ。

サイトで紹介されていたアニメ風のサービス紹介動画がわかりやすいです（冒頭写真も動画より引用）。


「SCOUTER」サービス紹介動画（youtubeより）

なかなかの腕前を持つ宇宙パイロットの友人が、経営者から「まだまだ一人前にはほど遠い」などとイヤミを言われてしょげている、そんなシーンに出くわした主人公。

そういった難癖をつけることで、賃金なども安く抑えられ、長時間労働を強いられているのかもしれませんね。

そんな現実に理不尽さを感じたのでしょうか？　主人公はみずから「SCOUTER」に登録、その友人を“輝ける職場”に推薦します。そして彼は新しい職場で大活躍——といったまさに絵に描いたようなストーリーです。


「SCOUTER」サービス紹介動画（youtubeより）

ユーザーにとっては“副業”ともなる

このサービスが興味深いのは、自分が推薦した人が「首尾よく採用！」となると、スカウターが「年収の一部をお祝い金として受け取る」ことができるところ（15万円〜）。

つまり、転職プラットフォームでありながら、登録者（ユーザー）にとってはリアルに“副業”ともなるところが、なんとなくいまっぽいのかもしれません。

「ソーシャル・リクルーティング」のサービスで求人企業を応援しても、応援ユーザーの経済的利益には基本つながらないことを考えると、こちらのほうがユーザーのモチベーションは上がるような気もします。

「SCOUTER」を運営する株式会社RENOのリリースによれば、サービス立ち上げから２ヶ月で、すでにスカウターとして200名以上が在籍（応募は500名超）、求人掲載数550件を突破したとか（2016年６月３日時点）。

もちろん、これをキッチリと“仕事”にするためには、ヘッドハンターが人材の“目利き”であり、企業とのマッチングが適切に判断でき、説得力のある推薦コメントを書ける——といったスキルが必要となりそうです。

そもそも自分の友人・知人の枠内で、「その仕事にピッタリ！」な人材をどれくらい見つけられるか？　といったハードルもありそうですが、「（審査に通れば）だれでもヘッドハント体験ができる」サービスという意味でも面白そうと思いました。

参考：キャリア相談という新しい副業！「SCOUTER」がアップデートを実施

記事：河尻亨一（「シゴトゴト」編集長／銀河ライター）