『世界のオモシロお仕事集』という書籍には、世界中のヘンテコな仕事が80職種ほど紹介されています。目次を眺めていると、「寿司ポリス」やら「携帯ソムリエ」やらなんだか珍しげな仕事がてんこ盛り。その職に就いてみたいかどうかは別として、好奇心はそそられます。
こういった“オモシロ仕事”を紹介する本やサイトも色々あるもので、世界には私たちが思いもよらないようなニッチなスキマ仕事がたくさんあるということがわかります。
しかし考えてみると、「それで食べている人がいる」ということは、その仕事を必要としている人も世界のどこかにいるということ。そんなスキマな仕事たちから、見知らぬ世界がチラっと垣間見えたりするのでは?——というわけで、今回は日本のメディアでも話題になった「レンタル夫」をご紹介します。
記事:島田綾子(シゴトゴト編集部)
絵:ききめいこ
スキマ需要に着目したビジネス
依頼主のもとにレンタル夫を派遣するサービスを提供するのは、アメリカにある、その名もズバリ「レンタル・ハズバンド社」。
職業名からは「どんな仕事なんだ?」という怪しさも感じますが、業務内容はいたって健全。電球の取り換え、庭の草刈り、家具の移動、配管修理など家事や力仕事をやってくれるようです。
アメリカではこうした作業が夫の果たすべき重要な役割とされているそうですが、このサービスが受け入れられているのは、アメリカの離婚率の高さとも関わりがあるかもしれません。女性の社会進出や経済的自立を背景に発展してきたサービスという見方もあるようです。
電球の取り替えや家具の移動はわざわざ業者を呼ぶほどのことではないけれど、女性が一人でやるには結構大変。そういったスキマ需要に着目したビジネスなのでしょう。
「女友だちの引っ越しのときなどの際にはなぜかいつも駆り出されるんだけどそれ以上には決して発展しない系のお役立ち男子」みたいな存在でしょうか?
「夫として、しっかり訓練を受けてテストに合格した男性だけがレンタル夫として登録されます。全国均一の品質を保証します」という宣伝がウケて大ヒット、メイン州ポートランドの本社から世界に広がったそうです。「全国均一の品質」とは、さすがマクドナルドの国。ところで、どんな品質なんでしょう…??
前述の本『世界のオモシロお仕事集』によれば、ロシアのレンタル夫はもうちょっと本格的な“夫業”との話もあるようです…。そう言えばロシアの離婚率はアメリカ以上と言われていますね。
日本の夫・恋人レンタル事情
さて、このレンタル夫、日本でも「借りちゃ夫」というサービスが存在するようです。1時間3,000円からレンタル可能で、スタッフ紹介の写真を見ながら指名することもできるとか。こちらはアメリカ型のサービスです。
ちなみに「レンタル夫」というのは、このサービスを手がけるNoie by woman's works社の登録商標のようですね。同社のサイトには以下のように書かれていました。
「Noieはお客様のご利用目的を正しく遂行できるよう日時や待ち合わせ場所のご指定ができるほか、お客様のご利用目的やお好みの雰囲気に合わせられるようスタッフの服装までもがお選びいただけるようになっております」
好みの雰囲気に合わせて服装を選べるなど、アメリカのレンタル夫が「便利屋さん」的扱いで作業重視なのに比べれば、日本ではもう少し「夫という存在」の雰囲気まで大切にしている気がします。
最近では「レンタル彼氏」や「レンタル彼女」などのサービスも耳にします。
1時間で数千円、一緒に手をつないでデートしてくれたりと手軽に恋人気分を味わえるようですが、恋愛というよりも悩み事の相談など、ちょっとしたカウンセリング的なものを求めて利用する人も多いそうです。
こういった“人間レンタルサービス”に関しては賛否両論あるようですが、ビジネスとして成立しているならば、やはりそれなりの需要があるとは言えそうです。ちなみに仕事旅行社の女性スタッフ陣からは「1度使ってみたい」「いろいろと気づけることがありそう」などの声も上がっていました。
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