作家の森まゆみさんによる連載。『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』を1984年に創刊、「谷根千(やねせん)」という言葉を世に広めた人としても知られる森さんが、雑誌創刊以前からこの町に"ずっとあるお店"にふらりと立ち寄っては店主にインタビュー。今回は60年続く町の蕎麦屋さん「大島屋」へ。(編集部)
うちは町の駄蕎麦屋。目玉はないし、話もないよ
谷中三崎坂とよみせ通りが交差する地点。そこには、藍染川が流れていた頃には琵琶橋という橋がかかっていたはずだ。そのあたりにある蕎麦の大島屋さん。1階が駐車場で、階段を上がって店に入ると割と広い。谷中散歩のちょっと大きめのグループには、昼食にはここを勧めた。谷根千ブームには関係なく、淡々と営業を続けている。
「うちは町の駄蕎麦屋だよ。きたって目玉商品もないし、話もないよ」と現主人が忙しく立ち働きなが...
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