もう気づいたら秋模様。それにしても今年は多いですね、台風。1年を通じてのことではありますが、この時期やっぱり気になるのが天気予報。ゲリラ豪雨や竜巻などもあったりして、お天気情報のチェックは日々欠かせません。
天気関連の仕事と言われれば「気象予報士」を真っ先に思い浮かべる方は多いでしょう。しかし、"気象予報士"って聞いて、どんな仕事をしているのか具体的に答えられる方はそう多くないはず。
気になって調べてみたところ、これがなかなか奥の深い仕事でした。どうやら、たんに天気の予報をしているだけではない模様。現在では、気象情報を活用した様々なビジネスに携わることも予報士の仕事になっているそうです。
例えば、食品企業とのコラボレーション。明日の天気から食品の売れ行きまで"予報"できるそうですが、すごいですね。こうなると、もはや"職人技"! この記事では、天気を通じて人々の暮らしとビジネスをサポートする"お天気職人"の仕事に迫ります。
「寄せどうふ指数」って?
まずは、私たちが知っているようで知らない気象予報士のちょっと意外な仕事から。
先程も紹介したように、気象予報士の中には食品の売れ行きを予報する仕事に携わっている人もいます。戦略的に気象予報をすることで、入荷量を調整し、食品ロスを減らすことに繋がるそうです。
暑くなったらアイスやビールが美味しい! とか、冬場は「やっぱりおでんだな」といった具合に、食品の売れ行きは気温や気象と関わるものですが、専門家がデータを駆使することでさらに緻密に売れ行きを推測することが可能になります。
このことで、年間の食品ロスをなんと30%も削減できた食品もあるとのこと。意外にもそれは「寄せどうふ」です。一体どうやって売れ行きの“予報”をしているんでしょう?
この記事(
気象データを活用し食品ロスを30%削減できた食べ物は?)に詳しいのですが、日本気象協会が「前日と比べて気温差が大きく上昇する日ほど寄せ豆腐の販売数が増える」傾向を把握し、メーカーと共同で"寄せどうふ指数"を開発。AI(機械学習)も活用しながら、つくり過ぎてしまったり、逆に在庫不足におちいることもある商品の売れ行きを予想しているそうです。
このように気象情報を商品販売に活用する手法を「ウェザー・マーチャンダイジング」と呼びますが、異常気象が多発する近年では、ますます精緻な予報が求められているのでは? 気象予報士の中には、膨大なデータを解析できる気象データアナリストとして活躍する人も増えているようです。
そのように言うと、気象予報士は"職人"どころか、人工知能などの先端テクノロジーを扱う"プログラマー"や"エンジニア"のように思えてくるかもしれません。しかし、それだけではないのがこの仕事の奥深さ。お天気は気分屋。科学では解明できないところも、まだまだ存在します。
気象予報士はやっぱり職人だった?
気象予報士が国家資格化されてもうすぐ25年(1994年にスタート)。平均合格率5%の狭き門でありながら、これまで約1万人の合格者が出ています。
しかし、実際の気象予報業務に携わる人は、全体の約3割と言われているそうです。あるベテラン気象予報士が執筆した
この記事では、仕事の戦力になる予報士を増やす必要性を訴えていました。興味深い内容だったので、少し引用してみます。
「実際の日々の天気予報では、はっきりと『雨』『晴れ』と悩まず予報できる事例は多くはなく、微妙な判断を迫られることが大半だと思う。(中略)コンピュータが言うことをそのまま右から左へ流すだけなら、気象予報士は要らない。そこに知見に基づいて手を加えられるかどうかが予報者の力量そのものである。(中略)
私の経験上、『戦力』になる気象予報士は、試験に受かっただけのレベルよりも数段上のスキルが必要だと強く感じられ、それには研修や書籍などからだけでは容易には得られない、日々のOJTなどで初めて得られる『経験』がとても重要だと感じる。気象予報の技術者は、いわば『職人』であるのだ。」(「気象予報士制度は必要か?『予報士1万人』時代の気象業界を考える」より)
ほかの仕事にも通じそうなエピソードですね。AI全盛の時代にこそ、人の経験・体験がものをいうのかもしれません。
記事:シゴトゴト編集部
写真:川本采香
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