2018年08月01日更新

設計士から花育まで!? 女性建築士のパラレルキャリアを徹底解剖~【パラキャリ☆生態図鑑】Vol.2

パラレルキャリア。それは世界的に著名な経営学者、ピーター・ドラッカー氏もその著書で提唱している*、新しい社会の生き方。そんな生き方を実践している“パラレルワーカー”たちは、実際どんな生活を送っているのでしょうか?

その謎に包まれた生態を追う「パラキャリ☆生態図鑑」。実際の「仕事内容」から最も気になる収入面や時間の使い方、そしてなぜその道を選んだのか? という進化の過程までを、まるで”サンプル”のように徹底解剖します。(第1回はこちら

*パラレルキャリア(英語:parallel career)とは、現在の仕事以外の仕事を持つことや、非営利活動に参加することを指す。(Wikipediaより)(ちなみに副業との違いは「お金を得ること」だけではなく、「今の仕事以外のスキルや人間関係を広げたり、社会貢献をすること」が主な目的である点)

第2回のサンプルは、インテリアや庭を中心とした設計士、住まいづくりのセミナー講師や執筆業、そしてお花を使った感性教育「花育」のインストラクターとしての顔を持つ女性、よっしーさんです。

設計士だけど花にも精通~違うようで繋がっている3つのキャリア


◆サンプル No.2~プロフィール ◆
なまえ:よっしー(♀)
しかく:一級建築士/インテリアコーディネーター
しゅべつ:設計士けい/建築ぞく
とくいわざ:庭の設計、インテリアデザイン


仕事旅行編集部・寺崎(以下/寺):少し間が空いてしまいましたが第2回となる『パラキャリ☆生態図鑑』。今回はグリーンライフ・プロデューサーのよっしーさんにサンプルとしてご協力いただきます!

よっしーさんは庭やインテリアの設計からお花を使った感性教育までパラレルに幅広い活動を展開されているそうですね。

よっしーさん(以下/よっしー):はい。「なんで建築士なのに花の活動をしているの?」と不思議に思われることも多いのですが、自分の中ではちゃんとつながっている活動なんです。

特にパラレルキャリアを目指してそうなったと言うよりは、ある1つの方向を目指していたら、結果的に広がっていたという方が実際に近いですね。

寺:パラレルキャリアの道を行かれている方は「自分の信じる道」を赴くままに進んで気が付いたらパラレルキャリアと呼ばれていた、とおっしゃる方が多いですね。

では今回もよっしーさんのお仕事について、
①かつどう(仕事内容)
②しゅうにゅう(給料)
➂じかん(スケジュール)
④しんかのれきし(キャリア年表)

といった4つの切り口から“生体図鑑”ふうにまとめてみたいと思います!

まずは今、どのようなパラレルワークをしていらっしゃるのでしょうか?まずは①かつどう(仕事内容)を教えてください。

箱を作るだけじゃなく、もっと踏み込んだ“ライフスタイル”まで提案したい



よっしー:個人事業主として大きくは3つのお仕事をしています。

まずメインとなる設計のお仕事と、次に住宅やライフスタイル関連のメディアでの執筆業や、住宅展示場などでのセミナー講師。

3つ目が「花育」のワークショップです。花育とは、お花を使った感性教育のことです。


花育の様子(写真提供: SUNIHA UNIHA(サニハユニハ)

寺:設計と教育、一見つながりがなさそうに見えますが・・・。モチベーションの源にあるのは「自然と調和した感性を豊かにするライフスタイルの創造」とありますね。

よっしー:私は学生の頃から建築を勉強してきたのですが、元々あまり建物自体のデザインといったハードの部分で優れたものを造る方向には情熱が向きませんでした。

むしろその建築を通してどんな空間や場が出来上がるかや、そこでどんな人々のライフスタイルが生まれるか、といったソフトの部分を創る方に興味があって。

また、その中でも特にお庭を中心とした自然と調和したライフスタイルを提案していきたいという気持ちが強くありました。

寺:なるほど! でも、自然と調和したライフスタイルの提案、というキーワードから花育にたどり着くのが面白いですね。

よっしー:最初に勤めた設計事務所が小学校や保育園の設計を多く手掛けていたこともあり、元々幼児教育には興味があったんです。

また、独立する前に在籍していたランドスケープの設計事務所の先生がお花に詳しい方だったこともあり、色々なご縁が相まって花育に出逢いました。

寺:その辺りのキャリアの変遷は、後ほどゆっくり「④しんかのれきし(キャリア年表)」で深堀りしてお聞きしたいですね! では次は、パラレルキャリアの②しゅうにゅう(給料)についてお伺いします。

女性×建築士×インテリアコーディネーター。専門性の掛合せで高まる提供価値



寺:収入は設計士のお仕事が半分、残り2つのお仕事が大体半々くらいという配分なんですね。設計士のお仕事は、これまでのキャリアで築かれた人脈が基になっているのでしょうか?

よっしー:会社員時代の経験や人脈はもちろんのこと、プライベートで通った学校や活動で築いた人脈もとても大きいです。

インテリアのお仕事は、女性の視点を求められることも多いので、女性×建築士×インテリアコーディネーターという掛け合わせは自分の強みだな、と思います。

加えてディベロッパーでの勤務経験からお仕事を依頼する側に対する理解があるので、コミュニケーションはとりやすいですね。

寺:これからのキャリアは1つの専門性を磨くだけではなく、掛け合わせることで希少性が生まれて提供価値が高まる、ということですね。その人自身の個性がうまく生かされる方向で掛け合わせができると素敵です。

次にお聞きしたいのが、「時間」についてです。3つのお仕事を掛け持つののはとても大変な印象があるのですが、どのように管理されているのでしょうか? よっしーさんの一週間の時間管理術を➂じかん(スケジュール)として教えてください!

ひとりで抱え込まない、信頼できる仲間に任せることがプロジェクト管理の秘訣



よっしー:色々なプロジェクトを同時並行したり進行管理していくことについては、ディベロッパー勤務時代に鍛えられましたね。

当時はマンションを企画するディレクターとして、設計事務所、インテリアデザイナー、建築家、ランドスケープデザイナー、広告代理店、営業、ゼネコン、仕入れと幅広い部門の方々と限られたスケジュールの中でプロジェクトを進行していかなければならない仕事だったので。

寺:まさにマルチタスク・・・すごく調整が大変そうですね。

よっしー:それが意外と自分の性には合っていたようで、もともと物事の並行処理が苦にならないタイプみたいです。

くわえてプロが集まったチームなら、助け合って一人ではできない大きなプロジェクトができますよね?だから私はチームで働くことも意外と好きなんだな、と気づきました。

寺:並行処理が苦にならないだなんて・・・3つ以上の物事を覚えられない自分にはうらやましい限りです。

よっしー:時間は有限だし、一人の力でできることはどうしても限られているので、誰かの助けを借りること。そうやって助け合うことで信頼関係を築いて行くことが大事だと思います。

寺:チームプレーが好きだけど独立された、という点は興味深いですね。

よっしー:やりたい事がいつくかあって、それを自分でワークライフバランスを取りながら働ける会社が無かったので、独立した状態でチームを組むところにたどり着きました。

寺:自分らしい働き方ができる道を自ら切り開かれた姿が素敵ですね。それでは最後に、気になるよっしーさんのこれまでのキャリアを④しんかのれきし(キャリア年表)としてお聞かせください。

回り道に見えたNZ留学と、修行時代の花育との出会い。すべての出来事に意味はある



よっしー:元々は新卒で大手の設計事務所に入ったのですが、激務が続き4年ほどで退職してしまいました。初めての挫折を味わい、建築ももう辞めてしまおうかと思っていた時、兼ねてから行きたいと思っていたニュージーランドにランドスケープを学びに短期留学することにしたんです。

ランドスケープの勉強ももちろん楽しかったのですが、何より衝撃を受けたのは当時ホームステイしていたご家族の日常生活でした。

夕方5時に帰ってきてみんなでバスケして、平日なのに親戚家族集まってBBQしたりとか、お庭も手入れされて綺麗でそこでいただくハーブティーもすごく美味しくて…心身ともに疲れていた私にとってはとにかくカルチャーショックでした。

その光景が、「自然と調和した、感性豊かなライフスタイル」の原体験になりました。今もそれは仕事の礎になっているんですが。

寺:そこから、もう一度建築の世界に戻る決意をされたのですね。

よっしー:改めてその可能性に気付いたんだと思います。設計事務所でなくても建築を通してできることはもっとある、と。そこから、一級建築士とインテリアコーディネーターの資格を取って転職しました。

寺:独立される前に、もう一度ランドスケープの設計事務所で働かれていたのはどうしてですか?

よっしー:私は比較的これまで大手の組織でしか働いてこなかったので、先輩が一度小さな事務所も経験した方がいい、とアドバイスをくれたんです。

ご縁を頂いた事務所は、ランドスケープをメインとしたいわゆるアトリエ事務所だったのですが、何より先生がとても異色の経歴の持ち主で。

地方の路上1坪の花屋から始めて、英国のチェルシーフラワーショーの世界大会で毎年賞を取るという偉業を成し遂げられた方でした。だから、ゼロから事を起こすことを学ぶにはすごく勉強になりました。

でも、設計で入ったはずなのに途中なぜか先生が経営されていた花屋で修行することになりまして・・・。

寺:その時はそこでライフワークとなる花育に出会うとは思ってもみなかった訳ですね。

よっしー:はい(笑) 床掃除とかしながら「一体自分は何をしているんだろう?」と悶々とする日々が続き、なかなか馴染めませんでした。

でも、偶然その花屋の近くに花育を教えてくれる学校があって、とても面白そうだなと思って勉強を始めてみたら、植物や花の持つ力にどんどん引き込まれていきました。

それまでも仕事を通じて、“大事にしたい何か”は自分の中でポツポツ点在していたんです。ニュージーランドで出会った自然と調和したライフスタイルや、元々持っていた幼児教育への興味。だけど、不思議なことにその点と点が線でつながらないもどかしさがあって。

「花育」のワークショップは、まさに自然の力を使って人の心と感性を豊かにするものです。つまり私の中で点在していた要素のすべて含まれていました。それに気づいた時、すべてが綺麗にリンクして自分の中でつながったように感じました。

寺:点と点がつながる瞬間というのはすごくよくわかります。回り道のようだけど、すべて意味のある出来事だったんだな、と思う瞬間ですね。

よっしー:それから、先生に「花育っていうのやりたいと思ってるんです」と話をしたら、「うちの花屋でやりなよ」と言ってくれたんですね。

プログラムも自前で考えて、チラシも自分で作って広告を置いてもらったりして。自分でゼロから仕事を創ったのは初めての経験だったので反省点もたくさんあったんですが、何とも言えない達成感がありました。

私は元々は売り込むのがあまり得意でなくて、意図的に自分から営業するとほとんど良い結果に終わらないんです。でも、楽しいと思って夢中になって誰かにその魅力を伝え続けていると、自然とお話が広がっていくんだな、ということをこの時体感しました。

寺:楽しいと思うから広がる。そこはキーポイントなんですね。そしてその後は独立されて、現在では個人向けから企業向けまで、様々な方を対象にお仕事をされています。

よっしー:はい、ありがたいことに今年で9年目になりました。いまでは「もっと心を豊かにするライフスタイルを社会に提案していきたい」とお考えの企業様とコラボレーションをして自然教育を展開していきたいと思っています。

花育自体は元々あった活動ではありますが、そこにデザインの黄金比や色彩のルールといったこれまで自分が建築設計を通して学んできたエッセンスを加えることで、自分なりの花育を提供していきたいです。

設計士も執筆や講師のお仕事も、私にとって全て大切なお仕事の1つではありますが、やっぱり植物を通して自然教育やライフスタイルを提案するお仕事には、特別な想いがありますね。

寺:来年は独立10周年を迎えられるとのこと、これからのよっしーさんの活動がますます楽しみです!ご協力ありがとうございました!

イラスト:中島雪絵

インタビュアー・プロフィール

寺崎 倫代(てらさき・みちよ)
早稲田大学商学部卒。幼い頃より「国が違えば価値観も常識も異なる」ことから視野を広げてくれる海外に憧れる。フランス系の商社やインターネット広告代理店などを経て外資系放送局にて6年間勤務。2017年4月より、かねてより憧れだったデンマークの成人向け教育機関・フォルケホイスコーレへ留学。

【当連載のバックナンバー】
【パラキャリ☆生態図鑑】Vol.1「サラリーマン」「地域の中小企業診断士」ときどき「合コンマスター」3つの顔を持つ男の生態とは?
連載もの: 2018年08月01日更新

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