2016年11月26日更新

ゆるキャラに「中の人などいない!」わけはないースキマな仕事から見える世界vol.12ー

ゆるキャラと言えば、近頃では「にゃんごすたー」がブレイク中ですね。青森県黒石市のご当地キャラですが、話題になったきっかけは、にゃんごが地元の祭りなどで披露する超絶ドラムテク。

X JAPANの「紅」といったヘヴィメタルな楽曲までプレイする姿に胸アツというか、激しいドラミングと見た目(困った表情)のギャップが笑えるというか…。そして早速ネット上では「中の人はだれ?」に関する真偽不明の噂話が飛び交っている模様。


「にゃんごすたー」公式チャンネル(youtube)より

ところで日本には現在、何体のゆるキャラが存在するのでしょう? 今年の「ゆるキャラ グランプリ」には、計1421体(ご当地+企業)がエントリーしています。一方でエントリーを辞退、あるいはアワード的なことに興味を持てない反骨のゆるキャラもそれなりにいるでしょう。地元の小さな商店街やアミューズメント施設等のゆるキャラまで含めると、数はさらに増えそうです。

ということは、ぞれぞれのキャラに日々汗を流して働く「中の人」が存在し、それを仕事とする人たちもそれなりの数に上るということ。

当たり前ではありますが、考えてみるとスゴいことにも思えます。そこで今回は、基本的には「顔出しNG」、人など入ってない前提で活躍する「ゆるキャラの中の人」について調べてみました。

ゆるキャラは現代の神職か?


調べてみましたと書きましたが、ゆるキャラの中の人に関しては、大量の記事やブログがヒットするものの噂話の範疇を出ないものも多く、信ぴょう性の高そうなソースにたどり着くことがなかなか難しい。

やはり「中の人」に関する情報は徹底シークレットなんでしょうか? 確かにゆるキャラの正体がバレると夢がないというか、なんとなく幻滅ではあります。

ゆるキャラはその数の多さやピュアで不思議な存在感、欧米圏のマスコットキャラともまた違う日本独特のカルチャーであることなどから、「八百万(やおよろず)の神」に例えられることも。

古来より祭りなどで神様の役を務める人は、一時的に「人間であることをやめる」ということを考えると、ゆるキャラもストレスの多い現代人を「ゆる〜い」オーラで癒してくれる、ある種の“神職”なのかもしれません。となれば、その正体も謎めいていたほうがよいのでしょう。お能の世界には「秘すれば花」という言葉もあります。


資料写真

見た目ほど“ゆるい”仕事ではない


しかし、それでも何かわかることはないのか? 断片的な情報をつなぎ合わせると、おぼろげながら以下のようなことが判明しました。

①地方自治体のゆるキャラはハローワークで求人をかけていることもある。
②想像通りなかなかの激務である。

一気に現実の人間社会に引き戻されそうです。

まず①に関してですが、くまモンが「ハロワで求人募集していた」というニュースがかつて話題になりました(2012年)。とあるTwitterアカウントが「君もくまモンになれるもん」の謳い文句で、熊本県内のとある広告会社の求人情報にリンク。飛んだ先はハロワのページで、そこに「くまモンキャラバン隊の業務(運転・司会・着ぐるみ要員)」と書かれていたようです。

ほかのゆるキャラに関しても、ハローワークでの募集ケースが何例も報告されています。しかし、それだけが中の人への道のりではないようで、自治体・団体の職員といった関係者から、プロの着ぐるみアクター、劇団員等が入っていることもあり、ファンや学生バイトの場合もあります。

そしてこの仕事に関して多くの関係者が証言しているのは、「暑い・重い」「視界・通気性が悪い」「子供たちからボコられる」など、なかなかヘヴィな業務内容。超人気のセレブは別として、お給料もそれほど良くないという話も定説になっています。ゆるキャラ全般で考えたときの労働条件は、それほどゆるくはないようです。

さらに最近では、「ゆるキャラ、リストラ時代」といったこともささやかれ始めました。この10年のブームが終わり、人知れずひっそり姿を消すゆるキャラが急増中とのこと。実は「ゆるキャラ グランプリ」のエントリー数も、過去最高を記録した昨年(2015年)より約300体減っています。

「地域おこしになる」ということで、あまりにたくさん作りすぎたのでしょうか? これに関しては、地元のゆるキャラの人気を上げる“選挙運動”に担当者の人たちが疲れてしまったのでは? という説もあります。 

「にゃんご」のような新しいスターも誕生していることを考えれば、ゆるキャラの人気自体はまだまだ続きそうですが、今後はたんに「ゆるい」だけではなく、ほかのキャラにない得意技やプロフェッショナルなスキルが、これまで以上に中の人たちにも求められるようになっていくのかもしれません。

記事:シゴトゴト編集部

(参考記事)

★ゆるキャラの中は誰? 自治体職員やハローワークで募集の例も

★ふなっしーが「ボコボコに」。子供たちに殴られても黙って耐える理由。

★中の人に聞く!着ぐるみアクターが気を付けること「目線」「反射神経」「安全」

★ゆるキャラ、リストラ時代  「くまモン」の背中遠く


連載もの: 2016年11月26日更新

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